お気楽さんと不死鳥・黄昏の老犬

アブラゼミが鳴く。
ミンミンゼミが鳴く。
そして、申し訳なさそうにツクツクボウシが鳴く。
確実に夏の終焉に向かっている。
総評:お気楽さんは今日もごきげん


【お気楽さんと不死鳥・黄昏の老犬】


先週の土曜日15日夜。
突然、黄昏の老犬が腰砕けになった。
ふらふらである。
よろけるのである。
段差が越せない。
コケる。
尻尾たれたれ。


とうとう!?


抱えながら家に入れる。
沈み込むように横になる。
夜中、気になって眠れやしない。



開けて日曜日。
ちょっと元気になったか?
心持。
希望的観測。


月曜日。
動物病院が開くと同時に飛びこむ。


胸部レントゲンを撮る。
いつもは泣き言を垂れる黄昏の老犬がおとなしい。


とうとう!?


検査を待つ間はありえないほどネガティブ思考。
涙も込み上げてきてうなだれて待つ。


ドクターが
「レントゲンでは腫瘍らしきものの大きさは変わってません。
もしかしたら、リンパ節に転移かも…。
超音波とる選択肢もありますが」
是非!


しばしの別れだ。
がんばれ。


お昼過ぎ電話が鳴る。
ドクターから。
「あのお…」
なんなのだ、その言いにくそうな口調は!
涙がこみ上げる、ネガティブシンキング。


「皮膚に脂肪腫あるのご存知ですよね」
ええ、鶏卵大のやつですよね。
「それが、どうも…移りこんでいて腫瘍に見えていたようです」
へっ??
「ということで、腫瘍の疑いは晴れました」
へっ??腫瘍はないってことですか?
「そうです。レントゲンではわかりにくくて…ご心配させました」
受話器握りしめ、今度はお気楽さんの腰が砕けた。
はあああ。
「気管支炎はありますから、薬は続行しましょう。注射2本しておきました。
体重もかなり落ちてますから、食欲が戻らなければ点滴しましょうね」
よろしくお願いしたします。


ブラボー!
一気に浮上、お帰りポシティブシンキング。


迎えに行くと黄昏の老犬が
「よお、お迎えか。ありがとありがと」
よくがんばったねえ。偉かった。
「慣れへんとこで、ちょっと疲れたわな。はよ帰ろ。さあ、はよ」
ってな感じである。
なんか元気になってやいませんか?


その後グルメ化はより一層進んでいる。
只今のお気に入りは「鶏の胸肉のやわらか酒蒸し」「豚肉のしゃぶしゃぶ」
けっこう、食されてます。


ぜえぜえ へろへろ。
さあ、散歩だ。
ぜえぜえ へろへろ。
綱引けいっ。
伴につけいっ。
黄昏の老犬は上から目線である。


ぜえぜえ へろへろ。
今日はこの辺で許してやろう。
ぜえぜえ へろへろ。
さあ、帰るぞ。
綱引けいっ。
黄昏の老犬は自分で決める。


昼間は死に体なのはご愛敬。
じいっと見つめ息の確認。
はあ、生きてるね。
近くに来たらとりあえず目ぐらい開けていただきたいものだ。ぷんぷん。
ちらり。
「生きているのもわからんのか。たわけ者」
へっ?以心伝心?黄昏の老犬。


とりあえず夏を乗り切ろう。
そして、秋を迎えよう。
次は冬を越し
春を目指そう。
がんばれ、黄昏の老犬。


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